藍の仕込みと藍染めをやる理由
今年も藍の仕込みが始まりました。
2017年に藍染めをスタートして、今年で6年目となります。
今年は私が藍担当なので、久しぶりにドキドキワクワクしながらこの時を迎えました。
藍染をやり始めたきっかけは、私の手元にある古い服です。
ほとんど全ての古い麻の服は藍染。ここは寒くて藍が育ちにくいのにも関わらず藍で染められた服がほとんどだし、大正年間の記録にも畑での栽培作物として藍が上げられています。
いつの時代からここで藍の栽培と藍染がされていたかは明確ではないですが、虫除けやマムシ避けとして生きるために必要な染めだったことは確かです。
藍染をやってみたいと考え始めた時に、さまざまなご縁から、郡上で50年以上も藍をやってきたTさんと繋いでいただき藍畑を始めることができました。
私はその方を一人目の藍の師匠と呼んでいます。
畑での藍の栽培を教えていただいたのです。
そしてその後、隣の福井県大野市で30年以上も藍をやって来られた皆藤さんに教えを乞い、藍建てから藍染めに至る全てのことを学びました。この方が、私にとって二人目の藍の師匠。
あらゆることが必要なタイミングでつながっていって、私は今、4つの藍甕で染めをすることができています。
私一人の力ではなくて、本当に不思議なのですが、たくさんの方のご協力によってこうしてやらせていただいています。だから、この喜び、この体験を共有していきたいと思っていて、自然栽培家の岡本よりたかさんと「藍の葉トラスト」という活動も始めています。(これについては後日、ブログにアップしますね)
藍染めをやることは、簡単なことではありません。
藍の栽培は農家ではない私にとって大変なことですし、すくもの仕込みから藍建て、藍染め、藍甕の管理、最後の掃除まで途方もなく時間も体力も必要な作業です。
それでも私は藍の色が好きで続けています。
それに加え、藍染めをやることは私にとって、「たつけ」と同じく、この土地の先人らが積み重ねてきた知恵を学び実践することであり、この土地と、そして先人たちとつながっていることを実感するに必要不可欠なことです。
畑の土に触れること、種をまき葉っぱを育てること、藍甕の液に手を入れ肌で感じること。手が荒れてザラザラになるけど、そんなことさえ愛おしくて、先人らの暮らしに思いを馳せる自分がいます。
さらに、藍染をやることで、たくさんの人とつながることができるので、なんだか輪が広がっていって、とても嬉しいし、楽しいし、あったかい。
藍染が好きな人、興味がある人とつながるだけではなく、藍染を実際にやっている人とは、その過程が大変な分、さまざまなやり方や考え方をシェアしあうことができる。苦労や知恵を分かち合うよき仲間と巡り合うことができるのです。
だからできる限り、藍の畑から藍染まで毎年細々とでも続けていきたい。
そう願っています。
そして一人でも多くの人に藍染の素晴らしさを伝えていけたらと思うのです。