私たちの藍染(1)

石徹白に伝わる古い服の染めはほとんどすべてが藍染です。この土地で100年ほど前までは当たり前のように藍染がされてきたというお話を90代のRさんに聞いてから、いつか藍染をしたいと思ってきました。

願えば叶うもの。2016年から藍の畑を始め、様々なご縁をいただいて、2017年には藍甕を設置し藍染をスタートしました。やってみたいと思ってはいたものの、葉っぱの栽培から始めると藍染とはこんなに大変なものかと実感しました。

このブログで、藍染の工程について何回かに分けて、ご説明していきます。

 

藍の葉っぱの栽培

藍染とは、まず葉っぱを育てます。

できるだけたくさん葉っぱを育てたいので、肥料を入れて(私たちは去年から米ぬかを投入)葉っぱの成長を促します。春先から土を耕し、種を蒔きます。いつ芽が出てくれるかと、三寒四温を繰り返す早春にドキドキしながら毎日を過ごします。(畑に直接苗床を作るので、霜除けをして毎日管理します)

無事に苗ができ、10センチ以上育ったら、石徹白で霜が降りなくなる5月後半以降、苗を畑に定植します。そのあとは、雑草に負けないようにひたすら除草。苗が小さい時はネキリムシにやられることもあるので、そうなったら余っている苗を入れて、虫と根比べ!そうこうしているうちに梅雨が始まります。
藍は水と暑さがお好みで、梅雨にググッと成長します。雨が憂鬱な梅雨時ですが、藍を栽培していると、雨がありがたく、空梅雨だと気が気でありません。梅雨が明けて、お天道様が厳しく照りつけるようになると、それはそれでありがたく、暑さによって、葉っぱを茂らせる藍に心強く思うものです。

葉っぱが茂る8月頭頃、石徹白では1番刈りをします。できるだけ3日間ほど晴天が続く日を狙って、朝露がなくなる10時頃から一気に刈り取り、お天道様の力でどんどん乾燥させていきます。この乾燥作業がとても大事。
葉っぱと茎を分けながら、カリカリになって葉っぱの色が完全に濃い緑になるまで、乾かします。ここで乾ききらないと腐敗してしまうので要注意。藍は刈り取っても次にまた生えてくるので、追肥をしながら成長を促し、2番刈りを9月に行います。

こうしてできれば乾燥葉で100キロほどは手に入れたい。
そうしないと次のステップに進めない。

 

自然からの学び

農家ではない私たちにとって、畑で藍の葉っぱを栽培するのが一苦労なのですが、このプロセスから学ぶことが沢山あります。

あらゆるものが土から生まれること。土と水とお天道様の力は偉大で、それに私たちの命は支えられているということを、汗水垂らし労働することで実感として体に染み込んでいきます。

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秋におすすめの藍染の服
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