2020年 8月 31日
石徹白の聞き書きの「朗読」を始めました。
石徹白洋品店のyoutube channelで月に2回(10日前後・25日前後)にアップしていきます。
(youtubeですが、画像は同一で、音声のみでの配信ですので、ラジオ代わりに聞いていただけたらと思います!)
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私は、実は、もともと服飾関係の仕事についていたわけではなく、この石徹白に移住することをきっかけに、専門学校で学び、服屋を始めました。
ルーツはどこに・・・とさかのぼってみると、学生時代にやっていた文化人類学にたどり着きます。
学生時代、カンボジアに通って、織物をやっている村のおばあちゃんたちにインタビュー調査をしてきました。
私はそこで、たくさんのことを学び、今の生きる糧にもなっています。
石徹白でもそういうことをやっていきたいと、2010年から、石徹白公民館の活動の一環として「石徹白聞き書きの会」をやらせていただいています。
そして発行してきた「石徹白聞き書き集 石徹白の人々」が3冊になりました。
(今年発行した3冊目からは、公民館事業ではなく、任意団体の活動になりました!)
私は聞き書きを通じて、今作っている「たつけ」などの古い服のことも学び、絵本として作っている民話も教えていただき、伝統食の作り方や、地域の行事など、様々なことを教えていただいています。
でもそれ以上に、私が聞き書きから学んでいること。
それは、ここで生きてきた人の「心」です。
そして、私は、それによって、私の「心」も変容していっています。
聞き書きには、そういう力があります。
聞き書きは、インタビューとは違って、その人の話をそのまま受け止めて、その人の言葉のままにまとめていくのが特徴です。
何か具体的な目的を持ってお話を聞くということ時にはあるけれど、その人が人生の中で経験したことの「感情」の部分を聞き出します。
嬉しかったこと、楽しかったこと、つらかったこと、悲しかったこと、喜びだったこと・・・
だから、聞き書きをすることでそのひとのことを知り、好きになります。その人のことを、この土地のことを、もっともっと知りたいと思います。
私に、地域での聞き書きのことを教えてくださった澁澤寿一さんは、「聞き書きがある地域とそうでない地域では、風景が変わってくる」と話されています。
聞き書きがある地域は、そこで生きてきた人の心の部分が、聞き書きの中に描写されているために、それを読んだ人が、行動として、そこで何か形にしていくことが多い。
私自身は、例えば、石徹白の人たちがいかに庭先を美しくしていくために、花を植えたり、日々の手入れをされるのに腐心しているかを知り、私も、(できる範囲で、、、)草刈りをしたり、花を植えたりするようになりました。
そうした「心」が集落全体を美しくしていくのだと思います。
そういう効果はあるけど、私は単純に、ここで暮らしてきた人たちと仲良くなりたいし、いろんなことを知って、私もこの地域で実践されてきたことを、同じようにやっていきたい。それが、ここに住む楽しみ・喜びになると思っています。
だから、「たつけ」や「はかま」などのここに伝わる服を、形にして、今の暮らしに取り入れていけるように提案していくのは、この土地の昔のことを学ぶ中でできることだし、今の時代に生きる私たちだからこそできること・・・それ自体が私の生きる誇りとなり、結果として、「たつけ」が次世代に伝わっていくといいなと思ってやっています。
私のすべてのベースになっている聞き書きを、これからも続けていき、朗読をしてお伝えしていきたいと思っていますので、よかったら、チャンネルをご覧くださいね。