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日本には各地に民衣の知恵と技術がありました。
直線裁断で無駄がなく動きやすい効率的な作り方。
その背景には自然と共に暮らす「心」があります。
私たちは失われつつあった その知恵と技術と心を学んでいます。

 -たつけの作り方を教えてくださった石徹白小枝子さん(昭和8年生)

わたしたちは、岐阜県と福井県の県境に位置する石徹白(いとしろ)という集落で、そこに伝わる服の形をベースとした服作りをしています。

2012年5月、石徹白で生まれ育った当時80代のおばあちゃんたちから「たつけ」の作り方を教えていただきました。

最後にたつけを作ったのは、もう50年近くも前のことと話しながらも、布の裁断方法や寸法まで記憶していました。しかも、「和裁」の技術でできているので、すべて直線裁断で布が無駄になることが一切ありませんでした。


完成したものを穿いてみると、それまで感じたことのない着心地の良さ。動きの良さ。そして、体が自由になることによって、心も解放される感覚があったのです。

限られた自然の恵みの中で、暮らしを営んできた先人らは、手で生み出した貴重な布をより効率よく、大切に使ってきました。自然環境を尊び、体を動かして生きてきた人たちの「心」が形に現れていると感じています。


私たちは、石徹白で継承されてきた民衣を学び、現代的な創造性を加え、次の世代に伝えていきたいと、日々ものづくりを続けています。

 

私たちが学んだ民衣

 

石徹白には上下合わせて5つの直線裁断・直線縫いの服が受け継がれてきました。この民衣は、直線裁断・直線縫いで、いかに動きやすい服に仕立てるか、ということが考え尽くされています。直線で断つことによって、布の無駄がなく、つまり環境負荷を最小にできる。これはまさに、日本の人々が培ってきた和裁の「集大成」と言えます。
石徹白洋品店では、長い歴史の中で積み重ねられてきた知恵や技術を現代に甦らせ、日々の暮らしの中に取り入れていく提案をしています。

たつけ   はかま   かるさん
越前シャツ   さっくり




たつけ

「たつけ」は農作業の時に誰もが穿くズボンとして、石徹白で作られてきました。お尻にゆとりがありますが、足裾が絞ってあるので、動きやすく、どんな作業にも最適な形です。
畑で育てた麻を手紡ぎ手織して作った貴重な生地を使って、少ない生地で動きやすいズボンを試行錯誤して生み出した全て直線裁断・直線縫いのズボンです。

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はかま

「はかま」は、ゆったりとしたワイドパンツです。様々な体型の方にお使いいただけるよう、たっぷりとした生地で作っています。お出かけにも、リラックスウエアにも。かつては、合羽代わりにして着物の上から着物をたくしあげて穿いたズボンです。すべて四角形のパーツで作られています。

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かるさん

「かるさん」とは、たつけとはかまの間のような形です。石徹白のまつおばあちゃんの大切なズボンをお借りして復刻しました。たつけでは細くて動きにくいお年寄りや体型に特徴のある方が工夫を重ねて作り、日常着として使っていたと思われます。たつけの動きやすさと、はかまのゆったり感を両方実現したパンツです。

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越前シャツ

「越前シャツ」の特徴は布の取り都合で片側だけ剝いであること。そして、和服の延長なので、脇に三角形のマチがついていることです。越前シャツの設計はそのままに、たつけや現代の服と合わせやすいよう、和洋折衷のデザインに仕上げています。

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さっくり

「さっくり」は麻のクズワタとからむしの繊維を混ぜて、手紡ぎした太い糸で織られた織物のことです。私たちはこれで作られた服をベースにして「さっくり」という名前で服を作っています。写真は、おばあさんが自分で機織りをして仕立て、藍染で仕上げたもじり袖の上衣です。シャツやワンピースに応用し、すべて直線裁ちの布を縫い合わせて作ります。

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石徹白という土地に根ざして

私たちだからこその創造的なものづくり

この土地で育つ植物で染め上げる

先人に学んだ知恵を伝え広める。
「たつけを世界へ」

幸せに暮らし、働ける場を