私たちのものづくりは国内で織られた布を仕入れるところから始まります。
残念ながら原毛や糸が国産というのは、現状で難しいのですが、紡績や織のところから可能な限り日本国内のものを使うことをポリシーとしています。
先日、麻を仕入れている滋賀麻工業さんにお邪魔して工場見学をしました。
中肉でしっかりしているのに柔らかくてチクチクせず、かつ麻特有の光沢が美しい上質な生地です。最後の工程までとても丁寧に行われています。
布の質を左右するのは、もちろん、原料自体の質もありますが、それぞれの工程でいかに丁寧に手を掛けられたか、なのかなと感じています。(ちなみに、原料のリネンはフランスから仕入れていらっしゃるそうです)
私がこれまで訪れたことのある国内の工場さんは、それぞれにとても丁寧で、プライドを持って布を作っていらっしゃいます。
一つ一つのプロセスが、最終的な結果としての布に影響する。
だから、その次の企画・デザイン・縫製を担う者として、同じように、妥協なく取り組んでいきたいと思うのです。
滋賀麻工業のある滋賀県は近江上布といって、麻(からむし)織の産地でもあり、近江上布伝統産業会館にも訪れ、歴史を学んできました。
私たちの住む石徹白では大麻が中心的に使われてきましたが(戦後、GHQによって栽培が禁止されて以来は作られていません)、大麻のくずわたにからむしを混ぜて作っていた「さっくり」という糸(布)が残っています。
その話をお年寄りから聞いて実物も見ていたのですが、からむしをどうやって糸にしていたかを見せてもらったのは初めてだったので感激してしまいました!
(この茎の部分を糸にしていきます)
百聞は一見に如かず・・・
本当にそうだと思いました。
こうして、かつて当たり前に行われてきたものづくりのプロセスを見ることができる場があることに驚きましたし、感謝の気持ちが湧いてきました。
植物から糸を績み、機織りをしていくワークショップなどもされていますので、興味のある方はぜひお問い合わせくださいね。本当に貴重な経験ができると思います!
こうした日本のものづくりの現場を回ってお伝えしていきたいですし、このような素晴らしい工場さんがこれからも継続していただけるよう、やはり、私は、国内産での服作りを妥協したくない・・・と決意を新たにしました。
ちなみに、こちらから仕入れている布で作っているたつけをご紹介します。
リネンなのでサラッとしていて汗を逃がしてくれるので、これからの暑い季節に心地よくお使いいただけます。
日本のものづくりの技術の集積である「たつけ」を、ぜひご愛用くださいね。