山に入り、染め材「五倍子」を収穫

「秋のお彼岸あたりで、五倍子を採るといい」

染めを担当しているMさんが教えてくれました。

私たちは身の回りにある植物を染め材としています。

草木染めの図鑑に載っている植物もありますし、そうではなくて、身の回りにたくさんあって、誰も必要としていないものだから染めに使ってみよう、と思いついたものもあります。

今回採取したのは、草木染めの代表的な染め材である「五倍子」です。

正直なところ、五倍子がこの地域の山にあるとは全く思ってもみませんでした。五倍子という染め材が存在することは知っていたし、私たちが求めている色を出せるものだから、もしいつかご縁があれば染めてみたい、と思っていた程度。

一昨年、たまたま山に入って散歩をしていたところ、五倍子が木からぶら下がっているのを発見して驚き、その林道沿いを隈なく探したところ、他にも五倍子がつく「ヌルデ」が周辺にたくさんあったのです。

私はあまりに驚き、その後も度々山に入っていました。その年は気がついたのが晩秋で、五倍子の理想的な収穫時期であるお彼岸より、随分季節が進んでいました。

ですので、今年こそはと時期を狙って、ようやく良いタイミングで山に入ることができました。

今回山に一緒に入ったのは総勢4人。

ガタガタの林道を軽トラで走ること10分ほど。

ヌルデのある山に到着しました。ヌルデを見つけるたびに木の枝をよくよく観察し、五倍子がついていないか検証。ついていても結構高いところが多いので、枝を必死になって倒しながら収穫したり、太いものなら木登りも!

血眼になりながら採取しました。

一人が遠目から探し、一人が木を揺らし、一人が採取して、一人が袋に入れる、なんて連携した動きも!

集まった五倍子は全部で2.5kg。多いのか少ないのかわかりませんが、とにかく、その山にあったもので手に届くところはできるだけ採りました。(しかし、全部採ると来年できないかもしれないということで、小さいものは残しておきました)

途中で、一人のスマートフォンが、必死になって収穫作業をする間に行方不明になるというハプニングもありましたが無事に発見され、ほっと胸をなで下ろして山から戻りました。

集めた五倍子は、一度蒸してから天日干しして保管します。冬に染めに使おうと思っています。

こんな高級染め材がこれほど近くの山にあるなんて本当に恵まれた環境です。余すことなく大切に使わせてもらいたいと思っています。

近くにはこんな豊かな山があり、私たちはとても幸せな中で染めができる、と喜びをさらに大きくしました。

今回もとても楽しい山行きとなりました。いつか、お客さんたちとこうして一緒に山へ行き、豊かな収穫を喜び合いたいなぁと思っています。そんな企画がいつかできたらいいな。

五倍子染めをした矢先には、またブログなどでご報告しますね!