年末のご挨拶

本日、年内最後の1日を過ごしました。
最高気温がマイナスのとても寒い石徹白らしい冬日。

寒さが厳しいほど、世界は美しい。

そう思えるような、樹氷や雪の結晶が輝く朝でした。

 

そもそも、なぜ、この厳しい土地に人々が住んできたのだろう、と寒さのことだけを考えると不思議に思うけれど、ここに住んでいると、何もないけれど、全てがある 生きるにふさわしい環境であることを実感することが多々あります。

縄文の時代から人々が拝み尊ぶ白山の神様がいらっしゃる。
御山からの清らかな流れに命の水を受け取り、豊穣の黒土は食べるものを育んでくれる。
山の恵が手に届くところにあり、いつだってわたしたちを養ってくれる。

そんな土地に惚れて、石徹白に移住し、石徹白洋品店を始めて今年で10年の年でした。1日1日過ごすごとに、この土地の奥深さを感じ、より一層愛おしくなるこの地で、

石徹白らしい服づくりとは、
愛情持って纏ってもらえる服をこの土地で生み出すということとは、
ここに伝わってきた伝統の衣を今の時代にいかに意味づけられるか、

などを繰り返し自問自答してきました。

私は頭で考えることよりも、体を動かすことの方が得意で、

畑で藍を育てるために土を耕しながら、
藍染をするために甕の世話をしながら、
植物で染めるために材料集めに赴きながら・・・と、

常に「動きながら考える」ことを続けています。

10年経ってわかることがあるかもしれないし、10年経ってもまだまだなことばかりかもしれない。

今はたまたま10年という積み重ねの上の「結果」としての形があるけれど、常にプロセスであって、これからもずっと、試行錯誤の中で進んでいくのだろうから、今・ここを楽しみ、慈しみ、充足した気持ちで過ごしていくことが喜びであることを忘れることなく、明日からも、来年からも、前を向いて歩いていこうと思います。

ここまで続けてくることができたのは、周りにいてくださる全ての方のおかげであり、石徹白洋品店を応援し、お支えくださっているみなさんに心から感謝を申し上げます。

本年も大変お世話になりました。

2023年、11年目の石徹白洋品店もどうぞよろしくお願いいたします。

どうぞ良いお年をお迎えください。

石徹白洋品店店主 平野馨生里

(写真は三男の5歳の七五三の家族写真です。おかげさまでみんな大きくなり、石徹白っ子としてすくすく育っています!)