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オーガニックコットンを使う理由

石徹白洋品店では、コットンの生地についてはほぼ全てオーガニックコットンを使っています。

私が石徹白洋品店を始めた11年前。オーガニックコットンの認証が一般的に認知され始めたころでした。

けれど、まだまだオーガニックコットンは「高い」ということと、肌が弱いなど特定の人が使うものとされていました。

私自身、アトピーがあって服に悩んだ時期があったために、素材には気を遣っていました。それで「オーガニックコットン」を使い始めたのですが、よくよく調べると、素材自体の良さだけではなく、生産背景に関してとても重要なポイントがありました。

私たちが普段身につけている服で、コットン素材のものがとても多いです。

コットンって植物で、畑で誰かが作っているものなのに、どうしてこんなにも安いのだろうか???そんなふうに思っていました。

すると、そこには、児童労働や安い賃金による不当な搾取が存在していました。

どれだけたくさんの小さな子供たちが綿花栽培に駆り出されているか・・・

そして、綿花栽培のための殺虫剤の使用量はものすごい。

「世界の農地のうち綿花栽培に使われているのは2.5%なのだけれど、その中での世界の殺虫剤使用量は16%にも及ぶ」

というWWFによる調査結果があります。こうした状況で耕地は荒れると共に、働いている人の健康被害の問題も大きいです。

このような綿花の慣行栽培に関する問題を解決しようと始まったのがオーガニック認証です。

児童労働や、不当搾取のない栽培と製造工程、
殺虫剤などの農薬を使わない有機栽培、

ということを前提として、第三者機関によってオーガニックコットンと認定されているもの。

それを私たちは選んで使っています。

もちろん、そうではないコットンと比べると価格は高くなります。作る手間はもちろんですが、認証のための費用もかかるのだそうです。

けれども、上の問題を考えると、もはや普通のコットンは、私は使えない・・・

今、遠い国に、私たちの服は支えられています。遠い国で作られたコットンが運ばれてきて、それが布となり、それを私たちは染めて仕立てています。

遠いところだろうが、誰かが泣いたり、傷ついたりしているプロセスを経た布は、使いたくないし、お客さまにも使ってもらいたくない。

オーガニックコットンが世界のスタンダードになることが必要と感じています。それによって、安くたくさん製品は作れなくなると思うし、一般に流通しているような安価では手に入らなくなるかもしれません。

けれど、綿花栽培に関わる人たちのことを考えると、それは納得しなければならないことだし、ひいては、この地球の環境を守っていくためには当然のこととして受け止めなければなりません。

服は土からできている。
誰かの手で作られている。

そんな、当たり前のことが忘れられている。

コットンの栽培から最終製品を作り上げることは、石徹白ではできませんが(そもそも、寒すぎてコットンボールがはじける前に冬がやってくる・・・)、周りの植物の色をいただいて染めています。

土から色という恵みをいただいた服づくりを実際に自らの手でやることで、「土から生まれる服」を実感し、一枚一枚、愛情を持ってお届けしていきたいと思うのです。

それが、私の、服という植物の恵みと人の手によって作られたものへの敬意の示し方なのです。