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藍畑から得た大いなる学び

藍畑が今年は全く上手くいっていません。

 

とても残念ながら、例年ほどの収穫量は見込めないと思っています。

 

なぜか。

 

一つは、種まきの遅れと、種まきしたときの精神状態。

今年はなんだかとても寒いような気がして、いつもより遅めに撒こうと思って準備していました。

そこにやってきたのがコロナ感染。例年より遅いのに加え、コロナに感染してしまったのでさらに遅くなってしまいました・・・。

しかも、精神的ショックが大きい時期に沈んだ気分の中で必死に種を蒔いていました。

 

そのことを自然栽培家の岡本よりたかさんにお伝えしたら「種は心が移るからね。僕は夫婦喧嘩をした時は種をまかないようにしているんだ」と教えてくれました。

 

例年以上に発芽率はよかったのに、その後の生育が極めて悪い。それはきっと、私の心を反映しているかのようです・・・。

 

なかなか大きくならない状況にドギマギして、梅雨が来る前にはと、まだ小さな苗を畑に定植してしまったのも良くなかったのかもしれません。

 

二つ目の理由は、1枚の畑は、マルチ(黒いビニール)なしでの栽培に挑戦したこと。

石徹白は気温が低いので、誰もが黒マルチを使って田畑をやっています。しかし、マルチとはビニールなので毎年交換する必要があり、どうしてもゴミが出てしまいます。

ここ6年間畑を続けてきて、それがとても嫌でした。

それで、マルチなしで栽培できないかと思い、畑の1枚はマルチをかけずに定植をしました。

 

マルチは除草の役割も果たすので、とにかく草に負けなければ良いのではと思って、除草はしっかりできていたのですが、それ以外は無策でした。

 

そう、マルチは除草だけではなくて、保温と加湿の役割も果たしているのです。他の草は全く生えていないところに、藍だけが生えていたら、自然界で考えたら不自然なこと。しかも雨が少なくて土はカラカラ。朝晩はぐっと冷え込むので、小さな苗には厳しい環境です。

 

それも考えずに、マルチなし。それは過酷ですね・・・。毎年被害のあるネキリムシにやられてしまうだけではなくて、カラカラに乾いて、苗自体がなくなってしまうことも多く猛反省。

 

理想はいいけれど、それに対しての対策をしっかりとしないと理想は理想で終わってしまうことを実感しています。これまた岡本よりたかさんに相談すると、籾殻を苗の周りに撒くと少しはいいかもしれない、ということだったので、今更ながら籾殻でカバーをしようと作業を始めました。

 

これまでは、とにかく最初に教えてもらったやり方だけでやってきたので、それほど大きな失敗もなくてなんとか収穫できてきました。けれども、やり方や種まきの時期が少し違うだけで、同じことにはならない。

 

これは大きな教訓です。そして、障壁に直面したからこそ、どうしたらいいのか試行錯誤するので学びが大きいのは確かです。

ずっと同じやり方で上手くいっていたらそれはそれでいいことかもしれないけれど、上手くいかないからこそ、学ばなければならないことが多くて、それによって経験値が増えていく。

 

失敗は成功のもととはよく言ったもので、失敗しないと学びもないのかもしれない、と思うほど多くの勉強をさせてもらっています。

 

結局、どのくらい収穫できるかは今はわからなくて不安だけれど、せめて種だけでも繋ぐことができれば・・・と思っています。

 

種さえあればまた来年やり直せる。しかも、石徹白で何年も育ててきた藍の種は頼もしいです。ここの気候も、そして私の心もわかってくれている種。

 

先日読んだ記事で印象的なものがありました。

 

ある人が、自分が育てた植物が枯れてしまった。

それを嘆いていたら、「君は本当にその植物をよく見ていたのか?君に蒔いてもらって、君のことを嫌いになる植物はいない。君の方が関心を持っていなかったのだろう」

と言われてハッとした、というような内容でした。

 

正直なところ、私自身、いつも何事もバタバタとしていて、どうしても一つのことに集中することや、一つのことを丁寧にこなすことができていない。

 

畑も、藍も、他のあらゆる細々としたことも、そして子育てさえも・・・

 

どれも大好きなことなのに、きちんと向き合えているかというと必ずしもそうではなくて、満遍なく済ませていくことに精一杯でここ数年過ぎてきました。

 

今年、改めて、新しい気持ちで畑や藍に向き合いたい、そう切に願っているし、願うことのできる心持ちになることができていて、それをとても嬉しく思っています。

 

そういう心持ちになった途端、藍の苗の存在がしっかりと見えるようになりました。小さな小さな苗でも、畑の畝に一つ一つ植えて、そこに籾殻を撒いて、インターンのみんなと水やりをしています。

 

もしも大きく育たなかったとしてもせめて種だけは残してもらえるように。そういう思いで育てていこうと思うのです。

 

何事にも丁寧に向き合うことの大切さを知ってはいたけれど、こうして自分自身の経験と反省の上で認識することができたということが大いなる学びです。

 

学んだからといって上手くいくかは、藍の生命力とお天気次第。それくらい、命を育むということは不確実性が高く、人の人知では計り知れないこと。

 

だからこそ難しいし、やっていて飽きなくて面白い。そんなふうに前向きにも考えていきたいと思っています。

 

さあ、今年の藍はどうなっていくのでしょうか。