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藍染が終わり、甕の掃除を

今年も無事に藍染が終わりました。

10月1日が最後の染め日でした。

もうちょっと、もうちょっと・・・と引き伸ばしながら、なんとか染めたいものを全て染められるように、と手を尽くしましたが、最後は寒さによって色がほとんど出なくなり、季節に押されて終了したのです。

藍の葉っぱの栽培もそうですが、やはり、私たちのものづくりは自然の営みの中で、自然のペースに従って行っていくものなので、思うように進まないことも多いです。

今日はたくさん染めようと思っていたけど、大雨だったから染められなかったとか、寒くて温度が上がらなくて思ったような色が出なかったとか、そんなことは日常茶飯事。

だからこそ、カラッと晴れて気持ちよくたくさん藍染できた日の充足感はすごく大きいし、想像していた以上にいい色が出てくれた時の喜びはひとしおです。

オフィスワークをしていた時にはなかった焦燥感ももちろんあるけれど、それ以上に、達成感、充実した心持ちを味わうことができて、心身ひっくるめてしみじみと幸せに浸ることができることに感謝しています。

今年は私自身が藍染の現場に戻ってきたので、いろんな学びと発見がたくさんありました。服づくりをする中で、染めという作業はとても面白くて、正解がないからこそ日々試行錯誤しながらより良い染めができるよう努めています。

こうすれば、こうなる、ということではない分、難しさはあります。しかし、この土地で栽培する藍の葉っぱをこの土地で発酵させて「すくも」を作った上でこんな素晴らしい色をいただけるということに魅力を覚えています。

人生の中でいろんなフェーズがあって、思うように進まないこともたくさんあるのですが、自然の営みも日々変化があり同じではないことと同様です。それを受け入れながらも、その時に自分ができる最大限のことをしていこうと思うのです。

藍の甕の掃除は、重労働です。上澄みの水分をポンプで出してから、下に沈む泥状になった「すくも」を手桶を使って体全体で掬い取って、甕を空っぽにする。その次に、甕に少しずつ水を入れて綺麗に掃除し、拭き上げて行きます。

泥状のものは、畑に戻して、来年の肥料分になります。

そんな作業を皆で力を合わせて行い、また来年の藍の仕込みに備えるのです。

体中ドロドロになる作業ではありますが、今シーズンも無事に藍色をいただけたことをありがたく思い、来年の藍染に思いを馳せながら掃除をしていきます。

私に最初に藍について教えてくださった方達は、なんでも惜しみなく藍染についてご教示くださいました。今やその理由がわかるようになってきました。

それは、藍染を続けていくことが決して容易なことではないからです。一から10まで伝えても、それを実践してかつ続けていくことは並大抵なことではない。けれど、この藍染は素晴らしい染めなので、ぜひ多くの人に知ってもらいたいし、やり続けてもらいたいと思える仕事なのです。

だから、やりたいと思って、心を据えて始めようとする人には伝えられる全てのことを伝えたい、と心を砕いてくださるのではないでしょうか。

藍染を始めて6年が過ぎました。これからも、細くとも長く、続けていきたいと思っています。そして、もしこれから、始めたいと思う方が通ってくださったら、私なりにお伝えできることは、お教えしていきたいとも思っています。

教えてくださった方たち、そして、これまで藍染の技術を伝えて来られた全ての方達への感謝の気持ちを忘れずに・・・。