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4つ目の藍

 

7月後半に、4つ目の藍甕で藍を建てました。

 今年は4つあるうちの3つにとどめようと思って、計画もそうしていたのですが、予想以上に3つの藍の色が早く薄くなってしまったので、濃い色をまだまだ染めたくて、追加をすることに。

藍を建てるというのは、心身ともに物凄いエネルギーがいることです。だから、正直なところ、4つとも建てることに躊躇はありました。

 まだ子供が小さくて、私自身が完全ではないのに、4つの藍を全て管理して、染めていくことができるのだろうか・・・

 けれども、やはり、私は藍の濃い色が好きだし、これから暑くなっていき染めに最適な気候になるのに薄い色しか染められないのは勿体無い!という勢いのもと、4甕目がスタートしました。

いつも藍建てにきてくれる美濃のMさんに協力してもらって、初めて7月後半という暖かい時期に藍を建てました。

 温度管理にそれほど気を使わなくてもよくて、立ち上がりは順調です。濃くて予想していた良い染めが始まりました。

 甕の中に布を入れて、それを手で手繰り寄せて染めている時間も、それを引き上げて酸化させ色が変化していくのを見ているときも、

冷たい山水で洗い締めている間も、私はどのプロセスも大好きです。

甕の中の微生物の働きによって、藍が染められるわけですが、全ての始まりは土からで、今、目の前の畑にうわっている藍の存在によって、こうして藍染ができるので、私はいつも土に、そして藍に必要な雨と太陽に、心から感謝をしています。

 この季節は、汗だくになってしまうくらい蒸し暑くても、傘をさしてもびしょ濡れになってしまうくらい雨が降っても、どちらのシチュエーションでも「ありがたい」って思えます。

 高い温度も、そしてたくさんの雨も、藍にとっては伸びるチャンス。そのチャンスが与えられるなんて、なんて嬉しいこと!

町に住んでいた時は、蒸し暑いとただただ冷房の効いた部屋にいたい、って思っていたし、大雨が降ったら濡れちゃうから嫌だなあって思っていました。

 でも、藍と共に生きることで、どんな状況でも感謝ができるという心持ちになっていて、それが私にとって、謙虚でいられて何ともありがたいことなのです。

 オフィスワークが中心だった頃は、それだけで暮らしていけるって思っていましたが、こうした自然の恵を受けて、不確定要素が多い藍染めに取り組んでいると、大変さはもちろんあるけれど、生きている実感、体と心と自然が一つになる心地よさを感じることができます。

 これが、先人たちも同様に(いや、それ以上に)味わってきた生きる喜びなのかもしれないって、勝手に想像しています。(こんなふうに言葉にすることではないくらい、当たり前のことだったかもしれないけれど!)

 

もうすぐ藍の一番刈りを予定しています。今年は例年の半分くらいの収量になってしまうかもしれないけれど、せめて種を繋げますように と祈っていた5月のことを思うと、想像以上にたくさん葉っぱが採れそうです。

 生きていたらいろんな局面があって、思うように動けないこともある。そして、予想もできないような気象状況の年だってあります。

 必要な量を毎年収穫し続けようとするのは難しい。でも、難しいから面白いのですよね。

藍も毎年(毎回)同じようには染まらない。だから、新しい色を見たくて、いつもワクワクした気持ちで染め続けることができるのです。