つづら折りの峠道を越えた先にある、鍋底のように開けた集落。
石徹白は、縄時代から続く白山信仰の集落と言われています。

石徹白洋品店は、ここに伝わる農作業着「たつけ」の作り方を、地域のおばあちゃんから教えてもらうところから始まりました。

 

 

たつけを教わると、それは全て直線裁断、直線縫いで作られています。
洋裁を学んだ私にとって、ズボンが直線縫いで作ることができるとは、衝撃的でした。

 

 

 

完成すると、とても動きやすくて、これまで知っていた「ズボン」と全く異なるものだと驚きました。 

服を作ると必ず布に無駄が出て、ハギレを捨てる必要が出てきてしまう・・・
服作りはごみを生み出すこととイコール・・・そんなジレンマを抱えていた私にとって「たつけ」との出会いは衝撃的でした。

すべて直線裁断でできている、日本人が培ってきた和裁の技術の集大成ともいえるズボン「たつけ」の素晴らしさを伝えていきたい、と強く思いました。

たつけを教えてくださった80代のおばあちゃんは、作り方だけではなく、たつけを穿いて働いた若い時代の頃の思い出話もたくさんしてくださいました。
たつけを穿いてみんなで働くのが「愉しみじゃった」と言うおばあちゃんのお話から、石徹白の人々の豊かでたくましい精神性を感じています。

ここで作るなら、石徹白らしいものを作りたい・・・と周りの植物を使った草木染めや、藍を畑から栽培して藍染をするなど、背景が見える服作りを行っています。

杉の葉、ヒメジオン、センダングサ、アカソ、くるみ、くりなど、石徹白の野や山に自生しているものをふんだんに使っています。同じ植物でも季節によって異なる色を見せてくれます。

この土地だからこそできる染めは、季節の移り変わりを常に感じることができとても気持ちの良いものです。

皆で畑を起こし藍を育てます。畑で取れた葉っぱを使ってすくもを仕込み、それを4つの藍甕で藍を建てて夏場は染め作業を進めています。
それぞれの作業は大変でわからないことも多いですが、多くの方のお力をいただいて、毎年学びを深めつつ、染めています。

この地域で受け継がれてきた服を、今の時代の文脈の中で掘り起こしリデザインすることで、新たな創造を続けています。
この自然の循環の中での暮らしを大切にしつつ、常に新しいことへ挑戦していきたいと思います。